小説「ロンリネス」桐野夏生


この小説の主人公は、賃貸でタワーマンションに住み、その1階にある保育園に子供を預けてそば屋のアルバイトをしている主婦。

私にはまったく理解できない人種で、読み進みながらも違和感満載。

なんで夫が高給取りでもないのに家賃の高いタワマンに住むの?
なんでそんなに安い時給のアルバイトしてるの?

しかも、子供を私立の小学校にお受験させようと考えている…。

どう考えても経済的に無理でしょーー!!そう思いながら本の帯を見たら、「VERY」大好評連載、と書いてあった。

なるほど、「VERY」かぁ…。

かなり前の話になるが、女子大の同窓生仲良し8人組の中のひとりが、アラサーも超えようかという年齢で結婚した。未婚で残った最後の2人のうちのひとりだった。

でも、1年も経たないうちに離婚。彼女と仲が良かった友人から聞いた話では、
「あの子、VERYのような生活に憧れてたらしいよぉ」ということだった。
「そりゃ、離婚するよね」と納得したことを覚えている。

VERYのファンは、VERYのような生活に憧れてはいるけど、VERYのような生活はしていないことが多い。そもそも、VERYのような生活をしている人は、VERYを読まないし、読む必要がないのだ…。

「ロンリネス」は、VERY読者層をそのまま主人公にしたような小説で、この作者が描く主婦の生態は、恐ろしいほどリアルだ。主人公の考え方にはついていけなくても、小説自体はおもしろくて熱中できた。

ちなみに、私は仲良し8人組の中でただひとり、未婚のままである。VERYのような生活に憧れる暇もなく、そんな雑誌を手にとる心の余裕もなかった。

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