自閉症の僕が飛び跳ねる理由


正直なところ、私は自閉症の人は他人の言うことをあまり理解できず、知能も劣っているように感じていた。記憶や計算など特殊な能力を持っている人が存在することは知ってはいるけど、なんだか、わけがわからない人のよう見えてしまうのだ。

でも、NHKのアーカイブTVを見て感動し、この本の著者である東田直樹さんの本を読みたいと思った。彼は、自閉症のため、会話はうまくできないけど、文字盤を通じて人と対話したり、PCで原稿を書くことが可能だ。その文章は知的でわかりやすく、美しかった。

この本は、自閉症の人に対する質問に筆者が回答する形で構成されている。「どうして上手く会話できないのですか?」「どうして目を見て話さないのですか?」といった、かなりダイレクトな質問が多い。本来、そんな不躾な質問を本人にすることはできないが、東田さんは、自閉症患者としてそのような答えにくい質問に対して、ていねいに回答している。

中でも特に印象に残るのは、「自閉症の人は普通の人になりたいですか?」という質問だ。

東田さんは、ずっと普通になりたいと思ってはいたけど、今では「もし自閉症が治る薬が開発されたとしても、僕はこのままの自分を選ぶかもしれません」と回答している。

なぜなら、「障害のある無しにかかわらず、人は努力しなければいけないし、努力の結果幸せになれることがわかったから」。そして、「自分を好きになれるのなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいのです。」と結んでいる。

この本を書いたとき、東田さんはまだ13才。たった13才の少年が、自分のおかれた状況に冷静に向き合い、自問自答を繰り返して書いた文章はまるで哲学書のように深く、何度も読み返したくなる。

この本は、世界30か国以上で出版され、多くの自閉症者とその家族に生きる希望を与えた。

東田さんは20代になり、今は作家として活動している。

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